2015年6月30日火曜日

キューバ旅行記26 キューバン・フォー~ラス・ツナス

     市街地からだいぶ離れた場所に球場があり、残念ながら試合は行われていなかったが、前の広場にいた若い娘たちに声をかけられた。
    撮影に興じているうちにぼくは球場の中に入りたいと話すと、明るくノリの良い娘さんたちは喜んで扉を開けてくれた。

     調子にのってこんな写真を撮ってワイワイと表に出ると、外ではすごーくコワソーなおじさんがけわしい表情で腕組をして待ち構えていた。...

     ぼくらはすこーしだけ気まずそうな顔をしてその場を逃れ、娘さんたちとは笑顔で別れた。


2015年6月29日月曜日

キューバ旅行記25 世界の車窓から~ラス・ツナス

     今回の旅でかなわなかったことの一つに、鉄道の移動がある。
    鉄道は遅延や運転中止が日常茶飯事で、よほど時間に余裕のある人以外おすすめしないと云われ、最後まで心が揺れながらも断念した。

     鉄道を好むのはこれまで列車を待つ最中や車内での人との出会いが忘れられない記憶として残っているからだ。きっとほかの交通手段に比べて、知らない人と話ができる時間や場所、そして気持ちの余裕が生まれるからかもしれない。...

     ここラスツナスはどうやら終着駅らしく、人々は長旅の解放から晴れ晴れとした表情をしていた。

     人が通行する狭いホームでカメラを構えるなど日本では迷惑千万だろうが、この国では撮り鉄などいないだろうし、そもそも東洋人が少ないので珍しそうな目でこちらを見ながら過ぎ去るのだった。



2015年6月19日金曜日

キューバ旅行記24 種明かし~ラス・ツナス

     壁や柱にもたれたりつかまったりすることでリラックスできる。
    だから、写真を撮るとき近くにそういったものがあれば使った方がいいと教えてもらったことがある。
    赤ちゃんやペット、人形を抱いているのも同じ理屈だ。
    実際はこちらがそうさせなくても、向こうの方からそういったポーズをとることも多いのだけど。


     自分の食べる物を撮ることの少なさに反して、市場や屋台に食材が並んでいるのは見るのも撮るのも好きだったりする。
    子どもが食べたり飲んだりしている姿というのは何だか微笑ましい。
    油断しているし気を許しているように見える。
    だけど、悪戯っぽい表情に見えるのもどうしてなのだろう。

     そんなわけで、柱につかまり飲み物を持っているのはよくできた組み合わせだ。
    この子を日本に連れて帰って子供服のモデルにでも…なんてね

2015年6月18日木曜日

キューバ旅行記23 野菜を運ぶ女性~ラス・ツナス

 ラディッシュの一種だと思うのだけど、それを現地で口にした記憶はなかった。
ぼくにとっては旅行も写真も道楽なだけに、働く人の美しさが眩しく映る。

キューバ旅行記22 お菓子が朝食~ラス・ツナス

    あらあら、朝からお菓子なんか食べちゃだめだよ。
    ぼくはパンとオムレツとジュースとミルクとコーヒーの朝食を宿でとって、そのすぐ後にエルネストさんの家でフルーツを食べてコーヒーを飲んだけどお菓子は食べてないよ。

キューバ旅行記21 キューバのデニーロ~ラス・ツナス

     自宅のガレージにいた彼の写真を撮らせてもらうと、ぼくが東洋人ということで興味を持ったらしく家に招き入れてくれた。
    彼の家庭は一見して裕福な層に入ると感じるほど調度が立派で、一般の家庭でこのようなたたずまいの家に入ったのは初めてだった。

     彼ことエルネスト氏は日本映画のファンで何度も三船敏郎の口真似をし、座頭市の居合で盛り上がった。

     その日はウイスキーと夕食、次の日にもお邪魔しフルーツとコーヒーをご馳走になった。そしてキューバの現状や日本の文化についていろいろな話をした。
    一緒に海にドライブに行かないかとも誘われたが、その時は街歩きがしたかったので断るとそれ以上誘ってくることはしなかった。

     今回の旅行でいろいろな人と関わったが、このエルネスト夫妻は本当によくしてくれた。
    エルネスト氏は大学の先生で、趣味でギターを奏で(なぜかキューバ音楽でなくメキシコの音楽だった)、そして奥さんを愛していた。
    そして、この写真を見て「俺って、ロバートデニーロに似てないか?」と嬉しそうだった。


2015年6月15日月曜日

キューバ旅行記20 少女と子犬~ラス・ツナス

     ここラスツナスはとりたてて観光名所がなく、町全体がのんびりしているところも気に入った。
    そして、これはどこに行ってもなのだけど、地図に載っていない場所に行きたくなる。
    人の密度は低いが、関わりの濃度が高いからだ。

     何が起こるか予想もつかない場所に足を踏み入れるのは旅行者として賢明ではない。
    しかし、忘れられない人々との出逢いを求め、歩けるところまで歩き回ってぼくは自分の旅を作り上げてきた。
    これはどんな国のどこでも変わることはないはずだ。
    そして、次第に一見物騒な地区の方が安全だということも学んでいった。

    そこには元気に遊ぶ子供たちと、楽しそうに談笑する大人たちの姿がある。
    その中にはいつも一人、ぼくを強く引き付ける雰囲気を持った娘がいたりする。

     彼女は子犬の感触と温度から安心感が生まれ、カメラを向けられる緊張から少しリラックスできていたと思う。
    強さのある綺麗な瞳と涼しげな笑みが魅力的だった。

2015年6月14日日曜日

キューバ旅行記19 セルフショット~ラス・ツナス

     小さな公園でステージ上の男女ペアのピエロの周りに子供たちが集まっていた。
    ピエロはおどけた調子で歌ったり踊ったり、何人かの子供をステージに上げ、ぼくたちがごく一般にイメージするものと変わらなかった。

     そういえば、実物のピエロを見たのは久々であった。...
    子供向けの娯楽がまだまだ少ないキューバでは、ピエロは子供たちを楽しませる存在として機能しているのだろう。
    そしてぼくはもうピエロを見ても笑えない。
    それは、娯楽が飽和したことよりも自分たちが少なからず道化を演じなければ生きづらい世界にいるからだ。

     ピエロを笑うことは自身を笑うことになる。しかし、人は笑いたい、しかも自分より明らかに劣る存在に対して。
    そして他人を笑わせたい欲求と笑われたくない羞恥心との葛藤の間に揺らいでいる。
    ピエロは顔色や体調が悪くても精神的にふさぎ込んでいても、白塗りの化粧で常に明るく楽しく振る舞わなければならない。
    その下には人間の顔があることを知っているから、やはりぼくはピエロを笑えない。


     「ピエロを面白がって撮るくらいなら、お前の方がよっぽど滑稽だぜ。」
    「自撮りしろよ自撮り!そっちの方がピエロだぜ!あっはっは、そっかお前はピエロじゃなくて単なるエロか。」
    ピエロの素顔からそんな声が聞こえてきそうだ。

2015年6月13日土曜日

キューバ旅行記18 オーダーをとる女性~ラス・ツナス

     バヤモからバスに乗り込み3時間半ほどでラスツナスという街に到着した。
    地図を見ると街の中心まではそう離れていないようなので、歩いて宿を探すことにした。
    荷物を引きながら歩いているとおばさんが声をかけて近くの宿に連れて行ってくれた。...
    この宿は15CUC(日本円で約1800円)とそれまで泊まった部屋と比べても高くはなかったのでそこに泊まることにした。

     丁度、昼時であったので宿のおばさんに、おすすめを訪ねると店名と簡単な地図が書いてある名刺大のカードを渡してくれた。
    早速向かったはいいが、こんな場所に食事をする店があるのだろうかと少し不安になっていると目的の店に到着した。

     そこは二階にある吹き抜けの雰囲気のある店で少し値段が不安になったが、メニューを見るとおばさんの話していた通りリーズナブルな上、味もなかなかだった。

2015年6月9日火曜日

キューバ旅行記17 老人と海~バヤモ

     ヘミングウェイの代表作の一つ「老人と海」は、キューバのハバナ近郊に位置するコヒマルという漁村が舞台となっている。

     バヤモの街はコヒマルからも海からも遠く離れているが、主人公の老漁師はきっとこんな風貌ではなかったかと思うのだ。


2015年6月2日火曜日

キューバ旅行記16 おばあちゃんといっしょ~バヤモ

     これから街に連れて行ってもらうのだろう。
    女の子のシャツにはDaddy's Girl(お父さん子)とロゴが入っていたけど、彼女はおばあちゃん子なのではないだろうか?
    それとsexyとロゴの入ったサンダルを履いていたけど、そうなの?

     彼女の写真は何枚か撮ったものの、こういう時それが分かりやすい写真を出すか、表情が良い写真を使うかよく迷うものだ。
    それをすべて満たせるような写真が撮れるようになりたいものだ。
    で、選挙の看板と、旧い車の入った「キューバっぽい写真」を使ってみた。